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テーマ:印刷デザインにまつわる話

【28】1990年代の印刷用版下製作とペーパーセメントの魅力

1990年代の印刷用版下製作は、今では考えられないような手間と技術が必要でした。

アナログな手法が主流であったこの時代、紙を使った作品作りにおいて特に重要だったのが「ペーパーセメント」です。この接着剤は、ただ単に物をくっつけるだけでなく、作品の仕上がりに大きな影響を与えていました。今回は、当時の印刷用版下製作におけるペーパーセメントの魅力について、紹介していきます。

ペーパーセメントとは、主に紙専用の接着剤です。特に1990年代には、数多くの作品を生み出すための必需品として使われていました。この接着剤の特長は、剥がしたり貼り直したりできる点です。

特に、印刷用の版下製作においては、何度も繰り返し作業することが多く、失敗を恐れずに作業ができるのが大きなメリットでした。
また、ペーパーセメントは、湿気を含まないため、紙の波うちやシワを防ぐ効果があり、印刷物の仕上がりも美しく、プロフェッショナルな仕上がりを実現することができました。

出来上がった版下をフィルムに転写するのですが、その際にでるのりかすや貼り影などといった白抜けを消す製版作業も少ないので版下作業に適した製品だと思います。

ペーパーセメントの使い方は非常にシンプルで、初心者でも扱いやすいものでした。
原液と薄め液をまぜ、ちょうどいい粘度に調合する。それだけでした。
頻繁に使うものですから作り置きもしていました。
ただ薄め液は火気が強く、すぐに蒸発してしまうので手早く作業をするのがコツでした。

気をつけなければいけないのは、調合する際に服についたりすると厄介なので慎重に扱うようにしていました。

あとは紙に印字された写植紙の裏にペーパーセメントを塗り、シール状にして切ったり貼ったりを繰り返し版下を製作していました。
また、文字の歪みの修正、作字など自由自在に作業が出来ました。

一つの版下を製作するのにかなりの時間と手間をかけていたので、先輩たちは作品と言っていました。
フィルムに収められるとその時点で終わりなので、少し名残惜しい気持ちもありました。
その後は、文字など切ったり貼ったりできる代物なので次の新しいデザインに流用することも多々ありました。

このように、1990年代の印刷用版下製作において、ペーパーセメントは欠かせない存在でした。

今振り返ってみると、あの時代の印刷業界があったからこそ、今のデジタル時代があるのだと感じます。

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