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ウェブプレスの安マンとスタッフが、チラシ印刷やタブロイド新聞印刷などの、印刷に関する事から、デザインやデータ作成、商品の始まりや用語の語源など、色々な事を書き綴っています。

テーマ:実際に作るチラシ講座〜デザインのコツと実例〜

【02】自治体イベントのチラシを作ろう!

このシリーズでは、さまざまな業種や目的に応じたチラシや印刷物の作成をテーマに、実際の制作工程とポイントを解説していきます。
チラシなどの印刷物は、デザインやレイアウト次第で伝わりやすさが大きく変わります。
どのようにして見やすく、魅力的なチラシを作るのか、一緒にチェックしていきましょう。
第2回となる今回は「自治体イベントの告知チラシ」を作成します。

インプット情報を確認する

まずは、どのようなチラシを作成するのか確認しましょう。
チラシ作成に必要な情報を整理しました。お客様から提供される原稿は、だいたいこのような内容になるかと思います。
(※地名や団体等は架空のものです。写真はフリー素材です)

自治体イベントのチラシを作ろう!01

ここで気をつけなければいけないのは、必要な情報が全て提供されるとは限らないということです。制作する前に分からないことがないか確認しましょう。
原稿を確認するときは、制作者の視点はもちろんのこと、ターゲット(チラシを見る人)の視点でも確認しましょう。欠けた情報が何なのか気付けるかもしれません。

  • Webサイトはありませんか?掲載しなくて良いですか?
    A4サイズの片面では、伝えられる情報に限りがあります。「詳しくはWebサイトをご覧ください」とできれば、興味のある人はそちらを確認してくれるでしょう。
    今回は「あるので掲載する。SNSアカウントも掲載する」という設定です。
  • どのような配布方法ですか?
    印刷部数は5万部ということで、全戸配布ではなさそうです。
    今回は「公共施設や駅・公的病院などで配布・設置。掲示板に掲示」という設定です。
  • このイベントは地元住民向けですか?観光客も見込んでますか?
    ターゲットにする人によってデザインが決まりますので確認しましょう。
    今回は「地元住民向け」という設定です。
    開催場所は地元住民なら誰でも知っているので地図も不要です。
  • 「雨天時は市民ホールで実施」とありますが、開催内容は変わりますか?
    今回は「雨天時中止のものと内容変更のものがある」という設定です。
    雨天時中止:ミニSL乗車体験・ふれあい動物園
    雨天時は屋内で実施:スタンプラリー
  • 事前予約などはどうやって申し込みますか?
    参加したいと思っても、参加方法が不明だと諦めてしまう人がいるかもしれませんので、すぐわかるようにしておきたいですね。
    今回は「Webサイトの応募フォーム、電話で受け付け」という設定です。
  • キッチンカーはどんな料理を提供しますか?
    食べ物は安定した人気があるので、料理を掲載すれば見る人の興味を引けるかもしれません。
    今回は「確定していません」という設定です。
  • 特産品の販売は何がありますか?
    これも食べ物ですので、イラストなど載せれば見る人の興味を引けるかもしれません。
    今回は「地元銘菓各種、梅加工品、桃やその他フルーツ、しらす、醤油など」という設定です。
  • ご当地ドリンク&カフェブースというのは、具体的にはどのようなものですか?
    地元のカフェが出店し、特産フルーツを使ったジュースや、ハンドドリップコーヒーを提供します。
  • デザインの希望はありますか?
    今回は「特にありません」という設定です。
    特にないと言われると困る人もいるかもしれません。しかし原稿とヒアリングの内容をよく理解すればイメージを掴めるはずです。

デザインの方向性を決める

デザインについては何も指定がありませんので、内容に相応しいデザインを考えていきましょう。

「昨年の写真」「ターゲット:住民向け」「催しの内容」「イベント名:ふれあいフェスタ」を見ましょう。あたたかみがあってのんびりした雰囲気を感じます。スタイリッシュで奇抜なデザインよりも、落ち着いていて安心できるデザインのほうが良いように思います。
※「昨年の写真」は、実際はフリー素材です

「開催日」を見ましょう。6月15日は、目立った年中行事(お正月やハロウィンなど)があるわけではありません。梅雨の時期に屋外のイベントがあるのは珍しいですね。しかし気温的には真夏や真冬より安全かもしれません。イメージとしては梅雨が強いのですが、晴れを想定したイベントなので梅雨は一旦忘れましょう。緑が鮮やかで新緑の季節というイメージです。

「配布方法:公共施設に設置・掲示」を見ましょう。必ず手に取ってもらえるわけではありません。チラッと見ただけで「気になる項目がある」と気付いてもらえるように工夫したいですね。

「催しの内容」を見ましょう。来場者は「地元住民」を想定しているとのことでしたが、もう少し細かく考えると「子供連れ」や「ご年配の方」も多そうです。文字のサイズをあまり小さくしない方が良いでしょう。しかし「ご当地アイドル」や「キッチンカー」は若年層にも人気がありそうですし、幅広い年齢層を対象にした催しになりそうです。万人受けするデザインを目指します。

文字サイズを決める

内容がだいたい分かったので作っていきましょう。
白紙から作り始めると思うと途方に暮れてしまいますが、できるところからやっていけば大丈夫です。
掲載する内容は決まっているので、まずは文字のサイズを決めます。書体や配置は後から変更しても構いません。紙面に入るか、文字を入れたあとどのくらい余裕があるか確認します。

幅広い年齢を対象とした催しですので、誰でも読みやすいように、文字のサイズを大きめにします。催し物の内容など、基本の文字サイズを12ptにします。注意書きなどはもう少し小さくても構わないでしょう。
イベント名や開催日は大きく表示します。

自治体イベントのチラシを作ろう!02

モニターで見る印象と、紙で見た印象は大きく違いますので、一旦プリントアウトして確認しましょう。

全体の雰囲気を決める

ベースを作っていきます。
今回は、イラストのフリー素材を利用してみましょう。
フリー素材を配布しているサイトはたくさんありますので、チラシのイメージに合うものを探しましょう。
今回は下記のイラストをもとに作成します。
選定のポイントは「色々な年代の人が居る」「緑が多い」「キッチンカーがある」「楽しそうでなごやかな雰囲気」などです。。

自治体イベントのチラシを作ろう!03

タイトルを囲むように人物が配置されています。人物の間に支給された写真を配置すると良さそうな感じです。写真を円形に切り抜いて配置することにします。

タイトルを作る

全体の雰囲気に合うようにタイトルを作成します。
ロゴを作るようなものですが、このチラシでしか使わないものなので、そこまでシビアに考えなくても大丈夫です。
それでもどうしていいか迷いますね。
今回は「人物たちの中心にタイトルを置く」ということが決まっています。円形っぽい形のタイトルにすると収まりがよさそうです。写真も円形に切り抜いて配置するつもりですし、こちらにも合いそうですね。
フォントは柔らかみがあって親しみやすいものを選びます。太めのものにすると存在感が出ます。

自治体イベントのチラシを作ろう!04

円形の中に大雑把に文字を入れたあと(❶)、バランスを調整するために文字を配置しなおします(❷)。その後に色をつけました(❸)が、色によってまたバランスが変わるので、微妙に文字の大きさや配置を変更しています。
色は文字より先に目に入ります。色の印象がチラシの第一印象になりますので、注意して配色しましょう。このチラシは「カラフルで楽しい&爽やかな緑」という印象を目指しています。
「ふれあい→カラフル」と「フェスタ→単色」としたので、「ふれあい」の方がメインのような感じが出ました。メインなのか同等なのか分からない中途半端さを消すために「フェスタ」を小さくして「ふれあい」が強くなるよう調整しました。そのせいで隙間ができて気になったので、[「2025」を大きくして、植物のイラストを入れました。飾りは目立ちすぎないように色を抑えます。
画面では少しごちゃごちゃして見えますが、紙で見ると意外と大丈夫です。画面と紙では印象が大きく違うので、時々プリントアウトして確認しましょう。

作り込んで行く1

タイトルを作ったので、まずはタイトルの周りの部分を作り込んでいきます。「全体の雰囲気を決める」の章で選んだフリー素材も使います。
イラストの人物たちですが、もっと色とりどりにしたいので服の色を変更します。背景を水色にする予定なので、背景に水色を置いてから服の色を変更します。この素材はIllustratorのデータなので、色はすぐに変更できます。目立つように白い枠取りをしました。ついでに、シャツの背中側の布も足しました。

自治体イベントのチラシを作ろう!05

「カラフルで楽しい」印象になるような色合いにしました。もしタイトルより目立ってしまう場合は、少し色を淡くしましょう。

調整したイラストをタイトル周りに配置します。
また、日付や場所なども配置します。日付は「2025年」をいれるべきですが、今回はタイトルに大きく入っているし、タイトルの近くに日付を配置しますので省略します。
写真はとりあえず枠だけ取っておきます。スペースがあるのでキャッチコピーも入れておきます。

自治体イベントのチラシを作ろう!06

左図の赤色の線は、実際には印刷しません。このような見えない線をイメージして配置すると、バランスが良くなります。
写真を入れて、サイズや位置を調整したものが右図です。写真を入れると印象が変わりますね。長方形の写真を円形に使います。どんなシーンなのか分かるように、気をつけてトリミングしましょう。

タイトル周りができました。隙間が気になるところもありますが、全体ができてから調整しましょう。

作り込んで行く2

イベント情報の部分を作っていきます。
ここまでくると、考えることはもうそんなにありません。残ったスペースに、情報を分かりやすく配置していきましょう。
ステージイベントはタイムスケジュールがあるので、他の催しとは体裁を変えます。
催しがたくさんあるので、見やすいようにマスで分けることにします。
予約等が必要な催しは、枠の中に予約方法も入れます。注釈にしても良いのですが枠に入れた方がわかりやすいですし、該当する催しが2つしかないのでスペース的には大丈夫でしょう。
予約についての説明を入れていた箇所が空くので、注意事項を入れることにします。

自治体イベントのチラシを作ろう!07

「入場無料」は、スペースが厳しくなったので下に移動しました。特筆すべき点というわけでもないので構わないでしょう。
あとは、文字を装飾したりイラストを入れたりするだけです。

自治体イベントのチラシを作ろう!08

どうでしょうか。
賑やかになりましたが、枠が小さいのに色々入れすぎているし、文字が小さすぎる箇所が気になります。
・文字数を減らす(※雨天時は中止→※雨天中止など)
・無くてもよい文字を削除する(お試しください)
・ちょっとはみ出ても良いから大きくする
などして文字の大きさを確保します。

自治体イベントのチラシを作ろう!09

先ほどの気づいた点を調整しました。またタイトルの周りの飾りを少し増やしました。
これで完成です。

確認事項について

制作開始前に確認しきれなかったことを仮に入れている箇所がある場合は、客先校正(チラシの内容を先方に見てもらう)の時に確認します。
今回は下記の点を確認します。

  • 「キッチンカー」で取り扱うメニューが未定ですが、料理のイラストを入れた方が見た目が良いので適当な料理を入れています。これでいいか、他のメニューにするか、削除するか確認します。
  • 「ご当地ドリンク」と「特産品」の果物のイラストも、この地域で生産している季節のもを選んでいますが、取り扱わないものは載せない方がいいので先方に確認します。
  • 「市民カラオケ大会」の「飛び入り」の参加方法が不明でしたので「参加はスタッフまで」と仮に入れています。これで良いか、他の手順か、記載不要か確認します。

まとめ

「自治体イベントの告知チラシ」作成の流れを通して、デザインやレイアウトにおける重要なポイントを紹介しました。
チラシは情報整理からデザインの方向性決定、細部の調整まで、多くの工程を経て完成します。特に、ターゲット層に合わせたレイアウトやフォント選び、視認性の確保が重要です。
チラシはただ情報を詰め込むだけでなく「どのように伝えるか」に気をつけましょう。視線の流れや色使いなど、工夫次第で印象が大きく変わるため、制作時には客観的な視点を持つことが大切です。

次回も、実践的な視点からデザインのポイントを解説していきます。ぜひ参考にして、魅力的なチラシ作りに活かしてください!

ウェブプレスのチラシ印刷

実際に作るチラシ講座〜デザインのコツと実例〜

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