ウェブプレスの安マンとスタッフが、チラシ印刷やタブロイド新聞印刷などの、印刷に関する事から、デザインやデータ作成、商品の始まりや用語の語源など、色々な事を書き綴っています。
テーマ:印刷デザインにまつわる話
【01】版下
最近ではあまり聞かなくなった「版下」。
DTP(DeskTop Publishing)の時代なので「版下」という言葉すら必要でなくなった…と言っても過言ではありません。
私が入社当時は「版下」全盛期で、まずはお客様(営業)とどのような印刷物、イメージになるものはあるか。など打ち合わせを経て、方眼用紙に鉛筆でラフスケッチ(設計図)を書き、それを模写するかのように、今度は厚紙の方眼用紙に極細のロットリングというインクペンで線や図形を描いて乾かす。この時、インクが乾いていないと擦れたり、汗で汚れたりしてしまいます。
文字は別の用紙にタイトル、文章、値段などを書き出してそれぞれに○級、○字送り、○歯詰、送りの指示をし、写植屋さんに発注する。そして印画紙に印字されて上がってくるのを待つ。その待っている間に写真やロゴなどをトリミングし、厚紙の方眼用紙にルミナーベース(透明なフィルム)の上に貼って合成できるようにセットします。
そして、発注してあった写植文字。
何時間あるいは何日もかかるものもありましたが、真っ白な印画紙に指示通り焼き付けてもらった数字や文字の印画紙の裏面にペーパーセメントを塗り、カッターで必要な部分を切り抜き、定規をあてて真っすぐにラフスケッチを見ながら厚紙の方眼紙に配置していく。と、気の遠くなるような作業をして出来上がったものを「版下」と読んでいました。
それだけではありません。当然、文字校正やデザイン校正、間違いがあれば文字の再発注。製版指示→焼き込みや網のパーセント、グラデーション、カラーの場合ですと版下の上にトレーシングペーパーを敷き、その上にCMYK4色配合の色指示。そしてこれだけの情報を厚紙の方眼紙に詰めこんで次の行程、製版に依頼します。
お客様の方はこの版下を見ただけでは印刷された時、どうのように印刷されるかがイメージできないので、製版の方にカンプ(仕上りイメージ)を出してもらいます。
今、これらの作業を知識があればパソコン一つで、できてしまいます。
しかし、使う素材、写真の著作権、デザイン、ロゴの類似などの問題、デザインセンスなどが問われるので簡単ではありません。
ただ、「版下」と言う言葉を使うなら「版下データ」ですね。
入稿時に使う印刷の元となるデータですから「版下データ」ですよね。
今や「版下データ」と言うのが「データ」と簡潔に通じるので「データ」送ってください!とか「データ」送ります!とかで「版下」と言う言葉はもはや死語になってます。
まだまだ進化していくこの業界、考えなければいけないところも沢山ありますがお客様との情報ツールとして携わっていけたらと思います。次回も印刷デザインにまつわる話をさせていただきます。
どうぞよろしくお願いします。